封筒の豆知識
わたしたちは家に帰るときに、自宅に入る前にポストを確認する習慣があります。これは小さい頃からポストに郵便物が届くという習慣が身に付いているからです。 ポストに届く郵便物の多くは中身が見えないように、また何の郵便物か中身がわかるもののその詳細がわからないように封筒が利用されています。クリスマスカードや年賀状などの一部の郵便物を除けばほとんどの郵便物は封筒で届けられます。 個人的な挨拶からフォーマルな場面、ひいてはビジネスの場面を含めて封筒というのは、わたしたちの生活の中で欠かせないツールのひとつなのです。
1.封筒と郵便の歴史 ~世界と日本~
そもそも何気なく日常利用している封筒はいつごろ成立したものなのでしょうか。またそうした封筒が郵便というシステムの中で利用されるようになったのはいつのことなのでしょうか。
1-1.最古の封筒と言われているのは粘土製のもの
現在残っている最古の封筒は、一説によると紀元前2000年頃の古代バビロニアにあると言われています。これは紙の封筒ではありませんが、手紙の中身を到着するまで他人に見せずに書かれた状態のままであるものを保証するものでもあります。
古代バビロニアには多くの民族が存在し、多くの言語が存在していました。筆記して情報を伝える文化もありました。
板状のものに文字を書きつけ、それを現在の手紙のように利用していました。しかし、メッセージがむき出しになっている状態ではその手紙が書かれた初期のものであるとは限りません。届け主に届く前に上から書き足すことによってメッセージを改竄するすることができるからです。
そのメッセージが正しく書かれたときのものと変わらないことを保証するために使われたのは粘土です。
手紙である板状のものに湿った粘土を巻きつけ、送り主のことを特定できるような文様をその粘土に付けたうえでその粘土を焼いて硬化させます。中にあるメッセージはこの粘土を割らなければ読めないようになっています。そのため、受け取った段階で焼き物となっている粘土が割れていなければ、その中身は誰も読んでおらず改竄されていないものでもあるということが保証されたのです。
また法的書類などの保存を必要とする書類の保存のために粘土の封筒は利用されました。保存したときのままの状態であること、そして環境などによる文書の劣化を防ぐことを目的としてこうした粘土の封筒は利用されたのです。
このような粘土の封筒が現存している最古の封筒です。 こうした粘土の封筒というのは古代バビロニアだけでなく、紙が製造されるようになってからも広く使われました。開封したかどうかの確認だけでなく紙や木簡などの文章を保護するために利用され続けたのです。相手に文書を送る用途だけでなく、重要な文書、例えば契約内容や書物の原本などを天候や湿気、熱などから保護するために、焼いて硬化させた粘土というのは非常に役立ったのです。
1-3. 書簡としての紙の歴史
紙の封筒が作られたのは中世のことです。紙自体が発明されたのは古代中国です。2世紀にはすでに紙が発明されていたと言われています。また別の紙の起源と言われているパピルスは古代エジプトで作られていたと言われています。
紙がヨーロッパに伝わり広く使われるようになったのが12世紀だということを考えると、日本や中国の紙の歴史がどれだけ古いかということがよくわかるでしょう。
1-4. ヨーロッパの書簡と封筒の歴史
16世紀から17世紀にはヨーロッパの各地で封筒が使われていたという記録が残っています。手紙を送る際に、それ以前は手紙を書きつけた便箋を折りたたみ、そこに直接ロウなどで封印を施して送るというのがそれまでの文化でした。しかし、中身である書簡とそれを保護する封筒が別々に作られ、保護と差出人と宛先を明記するだけの役割を封筒が担ったのです。
当時の紙や封筒には統一規格のようなものはなく、封筒はそれぞれの地域によって、そして生産している場所などによって、その規格は異なりました。
現在のように紙で作られた画一的な封筒が作られたのは比較的近い時代のことです。大量印刷できる技術や大量生産できる工業機械が1800年代に発明されました。
画一的な封筒が作られたのは1840年代のことです。産業革命末期のイングランドでEdwin Hillという発明家によって封筒の大量作成機械が作られたのです。1840年に最初の封筒作成機が作られました。その後もいくつか封筒作成機が作られましたが、その機械はどれも寿命が短く長く使用できるものではありませんでした。
そうした数々の試作品の上にできたのが1851年にロンドン万国展覧会で発表されたものです。この封筒作成機はそれまでの作品よりも性能が高く、一時間で240枚もの封筒を作ることができました。
1850年代後半には、Russell L. Hawesによってアメリカで自動封筒折り機が作られました。彼は発明家ではなく医者でしたが、人間工学の技術などを利用して新型の自動封筒折り機が作られたのです。その性能はEdwin Hillが発明したものよりも遥かに高く、一時間あたり10倍以上の2500枚の封筒の生産ができたのです。
その後、1876年に封筒に糊を自動で塗る封筒作成機が開発されました。この封筒作成機はJames Green Arnoldという男性によってデザインされたと言われています。
それから1世紀以上を経て、封筒は様々な作成機によって作られています。驚くべきことに全世界で毎年1850億をこえる封筒が作成されていると言われています。
1-5. 日本の紙の文化と郵便の歴史
日本における封筒の歴史は平安時代には始まっていたと言われています。もちろん紙は当時庶民にも広く使われていたわけではなく、貴族の連絡手段や記録を残すための手段、また書籍などの文章媒体として使われていました。ヨーロッパに紙の文化が広がったのが12世紀ほどであるのに対して日本にはそれよりも遥かに早い平安時代に使用されていました。
日本の文書の保管方法は中東のものとは異なり、年度による保護ではなく、文箱という木製の箱によって保存、送付されていました。日本の封筒の起源はこうした木製の箱であると言っても良いでしょう。
もちろんこうした文箱を利用してすべての文書が保護されていたわけではありません。
個人的な手紙は木の枝に結びつけて送るのが一般的とされていました。また、正式な手紙に関しては、その文章が書かれている紙の外側を保護するための紙で包んで送付していました。そういう意味では最も古い現在の紙の封筒の起源は平安時代の日本の手紙の懸紙だということができるかもしれません。 その後江戸時代にはすでに筒状の封筒が利用されていたという記録が残っています。また、草木などのイラストが入った便箋や封筒が作られていました。
郵便の歴史は各国とも比較的類似したシステムから始まっています。ヨーロッパの場合、教会や商人を中心に効率よく郵便物を送れるシステムが作られていました。また東洋でも駅制というものがあり、人足もしくは馬などを使って郵便物の送付が行われていました。
そのシステムというのは時代によって様々でした。
初めて商業としてではなく国営事業として郵便を取り扱ったのはイギリスです。その後さまざまな国で郵便事業が統制化されていきました。しかし、その郵便物の料金や制度は様々であり現在のような郵便制度のシステムとはかけ離れたものでした。
近代的な郵便制度が作られたのもイギリスでした。イギリス郵便制度の改革者Rowland Hillによって1840年に現在のような均一料金郵便制度がイギリスで施工されました。Rowland Hillは「近代郵便の父」として世界中に知られています。
それ以前のイギリスの郵便制度は重さと距離によって料金が決まっており、その料金が非常に高かったため、利用しにくいものでした。また現在の郵便のシステムとは異なり、着払いとなっていたことから受け取りを拒否する人が多くいたのです。
また役所や公務員は郵便物の受け取りが無料というシステムがあったため、不正に郵便を利用する人も多くいました。そうした背景から、前払い制、低料金、全国統一価格というシステムになっていました。また、その料金を切手という形で徴収するというシステムを施工したのもイギリスが最初だと言われています。
日本の郵政システムもこの郵便システムを参考にして作られました。1871年前島密によって確立された郵便システムはさまざまなマイナーチェンジを加えながら現在まで続いています。
2. 封筒についての豆知識
2-1. 日本独自の封筒の形式
現在、日本で使われている封筒には大きく分けて3種類に分かれています。その3種類とは、
長形、角形、洋形です。
一般的に耳にすることの多い用語であるため、長形3号や角形2号などの呼び名を聞いたことがない人はいないのではないでしょうか。では、それぞれの封筒はどのような特徴を持っているのでしょうか。
2-1-1・長形封筒
長形封筒は最も一般的な封筒の規格です。長形封筒の多くは定型郵便で送ることができます。
その中でも最もよく使われるのが長3封筒です。 その名の通り、長い形をしているのが特徴です。封筒の口が空いている側を上とした場合、上下(縦)の長さが左右(横)の幅の2倍以上になっているのが特徴です(長形3号のみ約1.96倍)。
長形封筒の寸法一覧
名称 | 寸法(横×縦 mm) | 入る紙のサイズ | 使用用途 |
---|---|---|---|
長形1号 | 142×332 | B4横3つ折り/A4縦2つ折り | CDジャケット |
長形2号 | 119×227 | A4横3つ折り/B5縦2つ折り | はがき |
長形3号 | 120×235 | A4横3つ折り | 伝票 |
長形4号 | 90×205 | B5横3つ折り | L判写真 |
長形40号 | 90×225 | A4横4つ折り | 名刺 |
長形30号 | 90×235 | A5縦2つ折り | 名刺・証明写真 |
長形封筒の郵便料金
※最低重量での料金であることにご注意ください。
名称 | 郵便料金 |
---|---|
長形1号 定型外※規格内 | 120円 50g以内 |
長形2号 定型外※規格内 | 120円 50g以内 |
長形3号 定型 | 84円25g以内 |
長形4号 定型 | 84円25g以内 |
長形40号 定型 | 84円25g以内 |
長形30号 定型 | 84円25g以内 |
2-1-2・角形封筒
角形封筒は大きな書類を折らずに送る場合に使用する封筒です。そのため長形封筒よりも横幅の広い封筒になっています。上下(縦)の幅が左右(横)の幅が1.5倍未満になっているのが角形封筒の特徴です(角形8号のみ1.66倍)。サイズが大きいため定形外になるものがほとんどです。
角形封筒の寸法一覧
名称 | 寸法(横×縦 mm) | 入る紙のサイズ | 使用用途 |
---|---|---|---|
角形0号 | 287×382 | B4折らずに | 書類・雑誌 |
角形1号 | 270×382 | B4折らずに | レントゲンフィルム |
角形2号 | 240×332 | A4折らずに | 書籍・雑誌 |
角形3号 | 216×277 | B5折らずに | 書籍・雑誌 |
角形4号 | 197×267 | B5折らずに | ノート |
角形5号 | 190×240 | A5折らずに | 伝票(複数枚でも可) |
角形6号 | 162×229 | A5折らずに | 伝票・小冊子 |
角形7号 | 142×205 | B6折らずに | はがき |
角形8号 | 119×197 | B5横3つ折り | 月謝袋など |
角形封筒の郵便料金
※最低重量での料金であることにご注意ください。
名称 郵便料金 | |
---|---|
角形0号 定型外※規格外になる可能性あり | 200円50g以内 |
角形1号 定型外※規格外になる可能性あり | 200円50g以内 |
角形2号 定型外※規格内 | 120円50g以内 |
角形3号 定型外※規格内 | 120円50g以内 |
角形4号 定型外※規格内 | 120円50g以内 |
角形5号 定型外※規格内 | 120円50g以内 |
角形6号 定型外※規格内 | 120円50g以内 |
角形7号 定型外※規格内 | 120円50g以内 |
角形8号 定型 | 84円25g以内 |
2-1-3.洋形(ようがた)封筒
洋形封筒は、長形封筒や角形封筒とは異なり、口のある辺の長さ(横の長さ)が口のない辺の長さ(縦)よりも長いことが特徴です。電子メールのアイコンを想像すると分かりやすいでしょう。海外では一般的に洋形封筒が使われています。
日本での洋形封筒の使用用途としては、海外への手紙の送付以外に、
日本では短い辺に口がある封筒のことを和形封筒、長い辺に口がある封筒のことを洋形封筒と呼びます。その違いは、もともとの日本語の表記が縦書きなのに対して、西洋の多くの言語が横書きであることから来ているのでしょう。
また一般的に和形封筒が背の部分(宛先を書く側と反対側)で縦に糊付けされて組み立てられているのに対して、洋形封筒は両サイドで糊付けされているかひし形を折り返して長方形を作るダイヤモンド貼りで作られています。
角形封筒の寸法一覧
名称 | 寸法(横×縦 mm) | 入る紙のサイズ | 使用用途 |
---|---|---|---|
洋形0号 | 235×120 | A4横3つ折り | 書類 |
洋形1号 | 176×120 | A5 縦2つ折り | 結婚式の招待状 |
洋形2号 | 162×114 | A5 縦2つ折り | はがき |
洋形3号 | 148×98 | B5十字に2つ折り | はがき・カード |
洋形4号 | 235×105 | A4横3つ折り | 書類 |
洋形5号 | 217×95 | A5縦2つ折り | 挨拶状・招待状 |
洋形6号 | 190×98 | B5横3つ折り | チラシ・フライヤー |
洋形7号 | 165×92 | A5横3つ折り | 紙幣 |
洋形長4号 | 205×90 | B5 縦3つ折り | 写真L判 |
洋形封筒の郵便料金
※最低重量での料金であることにご注意ください。名称 | 郵便料金 |
---|---|
洋形0号 定型 | 84円25g以内 |
洋形1号 定型 | 84円25g以内 |
洋形2号 定型 | 84円25g以内 |
洋形3号 定型 | 84円25g以内 |
洋形4号 定型 | 84円25g以内 |
洋形5号 定型 | 84円25g以内 |
洋形6号 定型 | 84円25g以内 |
洋形7号 定型 | 84円25g以内 |
洋形長4号 定型 | 84円25g以内 |
2-2.封筒での郵便の料金について
前述したように日本の郵便はイギリスの郵便のシステムに習い作られています。低価格で日本中のどこに送っても、定型もしくは規格内であれば一定の料金で送付することができます。 官製はがきの送料が63円、封筒は84円、というのが最も一般的な郵便物の送料です。
はがきの場合には重量がそこまで変化することがないため、よほどの例外でなければ63円で送付することができるでしょう。 しかし、封筒の場合にはその内容物の重さによっては料金が変動します。 25g以内の場合には84円で送付することができますが、25gから50gの場合には10円高い94円が必要になります。 明らかに定型の封筒での送付だから84円切手を貼ってポストに投函すれば大丈夫だろうと考えていると届け先に送料不足という形で10円を支払わせてしまう可能性もあります。
定型外郵便は規格内か規格外かによって大きく料金が異なります。
定型外郵便規格内
規格内のサイズについて
最も長い辺が34cm(340mm)、短い辺が25cm(250mm)、厚みが3cm(30mm)で1kg以内のものは定型外規格内郵便として扱われます。 縦横のサイズに関しては上記の封筒サイズで確認ができますが、厚みに関しては注意が必要です。書類などの平たいものでないものを封筒に入れて送付する場合、厚みが3cmを超えてしまうことがしばしばあります。超えてしまった場合には規格内料金で送ることができません。なお、厚みの確認は郵便局で3cmの隙間が開いているスケールがあり、その隙間を通せるかどうかで判断しています。 郵便窓口で送付する場合には、窓口でそのスケールを通すことができなかった場合には定型外規格外ということで料金が上がることになります。またポストに切手を貼って投函した場合には、料金不足の旨が書かれた用紙が添付されたうえで差出人のもとへ差し戻されることになります。
定型外郵便の料金について
定型外郵便の料金は規格内か規格外かによって料金が異なります。 規格内の料金 ※最も長い辺が34cm(340mm)、短い辺が25cm(250mm)、厚みが3cm(30mm)で1kg以内のもの
50g以内 | 120円 |
---|---|
100g以内 | 140円 |
150g以内 | 210円 |
250g以内 | 250円 |
500g以内 | 390円 |
1kg以内 | 580円 |
1kg超 | 取扱なし(規格外として取り扱う) |
規格外の料金
50g以内 | 200円 |
100g以内 | 220円 |
150g以内 | 300円 |
250g以内 | 350円 |
500g以内 | 510円 |
1kg以内 | 710円 |
2kg以内 | 1,040円 |
4kg以内 | 1,350円 |
※ 郵便料金に関しては日本郵便の令和2年9月1日の段階での料金を参考にしています。料金に関しては変化することもあります。詳しくは日本郵便のサイト< https://www.post.japanpost.jp/send/fee/kokunai/one_two.html>をご覧ください。
3. ビジネス用封筒を作製するときに
封筒は私的な手紙の送付だけでなく、さまざまなビジネスのシーンでも使われます。では自社のロゴの入った専用封筒を作ろうと考えたときにどのようなサイズ色合いの封筒を作製すれば良いでしょうか。
3-1.ビジネス用にオススメの封筒のサイズ
極端なことを言うのであれば、そのビジネスの内容によって作る封筒のサイズは異なります。例えば自社の商品やサービス内容を示すパンフレットやカタログがある場合には、そのパンフレットやカタログに合わせた封筒を作るのが良いでしょう。特にそうした冊子の場合には折りたたむことができないためその冊子が収まって余りあるサイズの封筒を作製すると良いでしょう。
特に送付するものが決まっていないという場合にオススメなのは長形3号と角形2号です。これらの封筒は最も一般的に使われているものです。
どのサイズの封筒を作ってよいのか分からないというときには、まず長形3号と角形2号の封筒を作っておき、用途によって使い分けると良いでしょう。
3-2.種類別に見るビジネスでの封筒の使用用途
前述したように日本の封筒には3つの種類があります。 それぞれの封筒の種類は単純なデザインだけでなく、それぞれ使用する場面に合わせて使い分けをします。一般的には和封筒(長形封筒・角形封筒)を利用しますが、特別なケースでは、洋形封筒を利用することもあります。
3-2-1.長形封筒
細長い形状をした長形封筒は紙を折りたたまなければ入れられないというケースがほとんどでしょう。そのため、長封筒を利用する際には折っても問題のない紙を使用するときです。また郵送料金が安いため、大量に発送する際にもこの長形封筒を利用した方が良いでしょう。請求書や領収書、手紙や折っても問題のない手紙は長形封筒を利用した方が良いでしょう。
3-2-2.角形封筒
角形封筒は紙を折りたたまずに入れることができる封筒です。そのため折ってはいけない紙などを送る際に利用します。また郵送中に封筒ごと折れてしまうのを避けるために、紙をクリアファイルなどに入れて送付するのが一般的です。
3-2-3.洋形封筒
洋形封筒を利用するシーンは限られてきます。洋形封筒は招待状や案内状などの送付のために利用します。何かの展示会やお披露目会などを行うときにのみ使用することになります。職種によっては非常に多く送付する可能性もあるかもしれません。そうした場合には一定数自社のロゴ入りの洋形封筒を発注しておくのも良いかもしれません。
3-3.封筒印刷を依頼するときに悩む紙質のこと
封筒印刷や封筒の作成を依頼するときには紙質の指定もしなければなりません。一般的に封筒に使われている紙は大きく分けて、クラフト紙、ケント紙があります。
3-3-1.クラフト紙
最もよく使われるのはクラフト紙です。茶封筒の紙はこのクラフト紙でできています。安価で購入しやすく、また丈夫で使いやすいため多くの場面で利用することがあります。漂白の具合によって色の濃さが変わります。何よりコストパフォーマンスに優れているので、大量に封筒印刷を依頼する際に、特にデザインにこだわりがなければ、クラフト紙を利用するのもひとつの選択肢になります。
クラフト紙には晒し(さらし)具合によって色が異なります。晒しとはどれだけ薬品によって色を白くしたのかということを指しています。 未晒クラフトは漂白処理を行っていないクラフト紙のことです。樹木の色である茶色に近い色合いのクラフト紙のことを指します。加工が少ない分単価も安くなります。濃い目の茶色とザラッとした手触りがその特徴です。
晒クラフト紙は反対に、完全に漂白処理したクラフト紙のことです。クラフト紙ですが、色は白く手触りも未晒のものと比較すると滑らかです。色が白いため何色のインクを使っても綺麗に仕上がるのが特徴です。 半晒クラフト紙は、未晒と晒の間のクラフト紙です。色合いも手触りも未晒と晒の中間になります。具体的な色合いとしては明るい茶色や薄い茶色のものですが、漂白処理をどれだけ行ったかによって色合いが異なります。 中にはカラークラフト紙と呼ばれる着色されたクラフト紙もあります。
着色されたカラーのケント紙と比べると薄いですが、中身は透けにくい紙です。カラークラフト紙は着色して硬さや重さをケント紙ほど感じさせないので、ソフトな印象の中にも企業カラーを出すことができます。
3-3-2.ケント紙
ケント紙は白封筒に利用されている紙です。白く清潔感のある紙で、製図やデザインなどでもよく利用されます。表面が滑らかでクラフト紙に比べてつるつるした手触りになっています。クラフト紙に比べると厚みがあり、インクが定着しやすくにじみにくいのが特徴です。印刷がきれいにできる点もケント紙の特徴です。 また色も白色だけでなくカラーバリエーションも豊富です。デザインにこだわりを持ち、また封筒ひとつひとつに費用をかけることができる場合にはケント紙を利用すると良いでしょう。
3-4.ビジネス用にオススメの封筒の色
茶封筒を利用する場面は 一般的な封筒の色、と言われると何色を想像するでしょうか。おそらく多くの人は日本人の肌色に近い茶色を想像するのではないでしょうか。茶色の封筒が利用されることが多いのは最も低コストの封筒だからです。漂白処理されていない、最も原材料に近い色をしているため安価で購入することができます。特にフォーマルではない場面や資料を持ち運ぶ際などで使用します。請求書や納品書などの書類を送付する際にも茶封筒を利用します。多くのビジネスシーンでは茶封筒を使っても失礼にあたることはないでしょう。
白封筒を利用する場面は よりフォーマルな場面では白封筒を利用します。白封筒はその白さを出すために、漂白処理がされています。そのためコストが茶封筒に比べて高くなります。白封筒を使うのは、エントリーシートや履歴書などを送付するときです。白封筒は相手にかしこまって送付する際に使います。その他の場面ではお祝いなどの慶事の連絡やお礼の手紙を送る際など喜ばしいものの際には白封筒を利用することが多いでしょう。また特に重要な書類を送付する際には白封筒を使用し、中に何が入っているのか明示するというのがビジネスマナーです。
3-5.どの色の封筒を作るべきか
折角、自社のロゴなどが入った封筒を作るのであれば、オリジナルの色とデザインを組み合わせた封筒を作るのも良いかもしれません。一般的に使う茶や白以外にも、封筒印刷会社に依頼する際には様々な色の封筒を依頼することができます。一般的には字が読みやすくロゴなどのデザインの邪魔にならないように淡い色の封筒を作ることが多いでしょう。具体的にはピンク、クリーム。グリーン、ブルーなどの彩度が低く、明度の高い色(白に近い色)が良く好まれます。 濃い色の封筒を作るメリットは他社と封筒で差別化をはかることができるという点です。濃い色の封筒は目を引くため、誰しもその封筒がどこから届いたのかと確認することになるでしょう。そういう意味では通常の郵便物と差別化ができますが、あまりにビジネスに見合わない色を使用した場合には企業としてのイメージを損ねてしまう可能性があるため注意が必要です。
色にはイメージがあります。黄色や赤系などの暖色の場合暖かいイメージを与えます。一方、青や白系などの寒色系の場合冷たいイメージを与えますが清潔感や堅実な印象なども同時に与えます。 また最近では緑などの自然色を利用して封筒の作成をする企業も多くあります。
3-6.封筒印刷で何を印刷すべきか
納品したあとにこうしておけばよかったという後悔をしないためにも、また取引相手の会社の封筒を見てこういうデザインにしたいなぁなどと思わないためにも印刷するデザインに関してはきちんとアイディアを煮詰めておくようにしましょう。 必ず印刷するべきものは会社情報です。会社名だけでなく、郵便番号、住所、電話番号、FAX、URLやメールアドレスなどアクセスをとるために必要な情報をきちんと載せておくようにします。
こうした情報は郵便を利用する際に送り元を書く手間を省くというほかに、取引先がとっさのときに自社のアクセス情報を調べるために利用することもあります。非常に重要な情報であるため、間違いがないかどうか、そしてそれが誰にでも利用できる公的な情報かどうか確認しておく必要があります。例えば住所などの場合、省略などせず公的な機関に提出するものと同じような記述をするようにしましょう。
また、作成したロゴなどがあれば、それも印刷しておくと良いでしょう。企業のロゴはその企業のイメージを伝えるものになります。信用性やブランディング、企業イメージを伝えるものです。文字情報ではなく画像としての情報はそうしたイメージなどを伝えやすいものです。あった方が良いのは間違いありません。色とロゴの組み合わせによってそうしたブランディングを行うことは可能です。たかが封筒と考えず、名刺を渡すつもりで制作するのがいいでしょう。