ダイレクトメールは顧客の消費行動にアプローチできます。
DMと略されることから、TwitterやInstagramなどのSNSで直接送るメッセージと混同する方もいますが、ビジネスではまったく違うものです。
ビジネスで使うダイレクトメールの意味や、ダイレクトメールを効率的に活用する方法などを紹介します。
開封率を上げる簡単なコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

□ ダイレクトメールとは?

ダイレクトメールとは、特定の個人に向けた宣伝活動に使われる販促ツールのことです。
「特別なご案内」と書かれた紙媒体のはがきや封筒が届いた経験がある方もいるのではないでしょうか。
これがダイレクトメールであり、自社のサービスや商品を紹介することで、売上アップに繋げるのが目的です。
ダイレクトメールはEメールと異なり、サイズやデザインを自由に決められるため、特別感を出せます。
また、普段からインターネットを使わない高齢者層へもアプローチしやすいです。

一方でEメールは一斉送信が簡単にできて、届けたい情報をすぐに送れます。
なによりコストが安く済むメリットがありますが、開封率が低いデメリットもあります。
迷惑メールに振り分けられたり、受信フォルダに埋もれてしまう場合があるからです。
それぞれの特性をしっかりと把握し、ダイレクトメールの使いどころを見極めましょう。

□ ダイレクトメールの閲覧状況と行動喚起率

ターゲットに直接アプローチできるダイレクトメールですが、実際どのくらい閲覧されているのか気になるところではないでしょうか。
一般社団法人日本ダイレクトメール協会の研究開発委員会では、毎年12月にDMに関する意識や行動を調査しています。
その結果をまとめた「DMメディア実態調査2023」のデータをもとに、ダイレクトメールの閲覧状況と行動喚起率を紹介します。

閲覧状況は全体で64.8%が読んでいる

「DMメディア実態調査2023」のデータによると、ダイレクトメールの閲覧状況は約65%です。
半数以上の人が読んでいることがわかります。
なかでも自分宛に届いたものは75%にものぼり、閲覧率の高さが伺えます。
この数値は年々減少傾向にあるものの、まだまだダイレクトメールを活用したマーケティング手法が有効と言えるデータです。

宛先 読んだ人 読まない人
自分宛 75.1% 24.9%
自分以外宛 50.2% 49.8%
宛名なし 26.1% 73.9%

自分宛に届くダイレクトメールのタイプは、はがきが約42%となっています。
顧客の立場から考えると、はがきは郵便受けから取り出してさっと閲覧できるため、内容を見てもらいやすいです。
内容としては、以下の項目が上位を占めています。

  • 新商品・サービスの案内
  • 特売・セール・キャンペーンの案内
  • クーポンの案内
  • プレゼント

行動喚起率は受け取ったDM総数に対して20%弱

ダイレクトメールの閲覧状況の約65%に対して、行動喚起率を見てみましょう。
行動喚起率とは、ダイレクトメールを受け取ったあとに何らかの行動を起こした割合を指します。

「DMメディア実態調査2023」によると、本人宛の受け取ったDM総数に対して行動喚起率は20%弱となっています。
そのなかでも「インターネットで内容について調べた」割合は10%で、その次が問い合わせ、購入・利用と続いています。
行動をおこした性別・年代は、全体平均に比べて男性20代〜40代が多く、女性20代の若年層も多い傾向があります。
インターネットを活用する世代だからこそ、気になったらすぐに内容を調べているのでしょう。

このことからダイレクトメールを送るだけでなく、ホームページを含めたインターネット上における情報の充実化を図ることが、ダイレクトメール施策の相乗効果をもたらすと考えられます。

DMを受け取った後の行動 2022年12月 2023年12月
インターネットで調べた 8.4% 10.0%
問い合わせた 4.9% 3.5%
購入・利用した 3.0% 2.0%

□ ダイレクトメールのメリット

ダイレクトメールは閲覧してもらえる確率が高いことが調査結果から見えてきました。
それでは、ダイレクトメールのメリットにはどのようなものが挙げられるのでしょうか?
ダイレクトメールのメリットを正しく理解し、効果的に活用しましょう。

直接訴求ができる

ダイレクトメールは興味がある人に絞って、直接アプローチできるメリットがあります。
興味のない人へアプローチするよりも、興味のある人にアプローチした方が開封率や購入アップにつながる可能性が高いからです。
また、不特定多数に届くEメールと比べて、自分の宛名が書かれています。
「とりあえず開けて読んでみよう」という気持ちにさせやすいのも特徴です。
1年以内に購入履歴がある人のように、顧客データを分析ししっかりとターゲットを絞ってダイレクトメールを送ると、顧客の購買意欲を高められます。

効果測定ができる

ダイレクトメールを送る際はあらかじめターゲットを絞っているため、効果測定が可能です。
効果測定方法としては、5つの指標があります。
指標を用いることで、目標を達成できたかどうかを数字で確認できるのがメリットです。
効果測定ができるとPDCAサイクルを回しやすく、回を重ねるごとにより効果的なダイレクトメールが送れるようになります。

効果測定方法 特徴
レスポンス率 顧客が行動を起こした割合のこと。反応率。
レスポンス件数÷DM発送数×100
コンバージョン率(CVR) 施策の最終目標へどれだけ誘導できたかを示す割合のこと。
コンバージョン件数÷DM発送数×100
CPR(レスポンス獲得単価) 獲得したレスポンス1件にかかったコストのこと。数値が低いほどよい。
販促費÷レスポンス件数
CPO(顧客獲得単価) 獲得したコンバージョン1件にかかったコストのこと。数値が低いほどよい。
販促費÷受注件数
アクセス数 Webサイトへのアクセス数。

「DMメディア実態調査2023」のデータでもあったように、DM送付後は内容について調べる人が増えるため、Webサイトへのアクセス数を測定しておくとよいでしょう。
ただし、アクセス数の測定にはパラメーターをつけたURLを使うなどの事前準備が必要です。

色彩やデザインを工夫しやすい

はがきや封筒など紙媒体のダイレクトメールは、色彩やデザインに企業の色を出しやすく、工夫しやすいメリットがあります。
デザインに凝ったダイレクトメールは、顧客に届いたときに興味を引きやすく、開封率アップが見込めるでしょう。
さらに女性や男性、10代や20代のように、性別や年齢層などターゲットに合わせてデザインを変えることで商品やサービスのアピールに役立ちます。
また、一部の特別な顧客に向けたセールの告知を行ったり、手書きの文章を一言添えたダイレクトメールにしたりすることで、特別感を演出できます。

□ ダイレクトメールのデメリット

ダイレクトメールのメリットを紹介しましたが、もちろんデメリットもあります。
メリットだけでなく、デメリットも把握したうえで施策を考えてみてください。
ダイレクトメールのデメリットは、PDCAの遅さとコストがかかる点の2つです。
それぞれ詳しく解説していきます。

早いPDCAを回せない

ダイレクトメールははがきや封筒のような郵送物を送るため、顧客の手元に到着するまでに日数がかかります。
さらにEメールとは異なり、施策が決まってからのデザイン作成や印刷の工程へとうつる時間などが必要です。
発送してからターゲットの手元に届くまでにも日数がかかってしまうため、PDCAを早く回せません。
Web広告と比べると、サイクルは遅くなります。

色彩やデザイン等にお金と時間のコストがかかる

色彩やデザインに独自性を出せるダイレクトメールは、工夫すればするほどコストがかさんでしまうデメリットがあります。
外部にデザインを委託すれば、さらにコストがかさみます。
コストをかけたからといって、必ず開封されるわけではありません。

さらに、ダイレクトメール施策はターゲット選定からデザインや印刷まで数多くの工程があります。
その分実行するまでに時間がかかり、ゼロから施策を実施する場合は最低でも1ヵ月以上はかかると考えておいた方がよいでしょう。
金銭面のコストだけではなく、時間コストも発生することをふまえてダイレクトメールを活用してください。

□ ダイレクトメールの開封率を上げるための施策

ダイレクトメールはEメールよりも開封率が高いことが特徴です。
開封率を上げるためにはいくつかコツがあります。
ここからは、ダイレクトメールの開封率を上げるためのコツを7つご紹介します。

件名で興味を持たせる

最初にターゲットが目にする封筒は、どれだけ興味をもたせられるかがポイントとなります。
興味をもってもらえないと、開封されずに捨てられてしまうからです。
封筒の件名にインパクトのあるメッセージを書いたり、封筒の裏面も活用したりしましょう。
インパクトのあるメッセージと聞くと難しく感じるかもしれませんが、イメージは雑誌の見出しです。
たとえば常識や思い込みをくつがえすようなメッセージだと、「なぜ?」と続きが読みたくなります。
そのため、続きを読みたくなるようなメッセージを意識するのが最適です。
また、表面に興味のあるメッセージを書いていても、届いたダイレクトメールの表面が必ずしも上になっているとは限りません。
裏面が上になっていても「開けてみよう」と思わせられるように工夫しましょう。

受診者のパーソナライズに合わせる

ダイレクトメールの開封率を上げるために、受け取る人の心理を突く文章を記載しましょう。先ほど紹介した「件名で興味をもたせる」方法に似ていますが、よりパーソナライズに合わせたものにすることがポイントです。
封筒に記載した訴求文に顧客の名前を記載したり、中身にも適度に顧客の名前を差し込んだりすると、自分に語りかけているように感じ、自分ごとにしてもらいやすくなります。
ただし、呼びかけが多いとくどくなるため、しつこくない程度に留めておきましょう。

魅力的なデザインにする

魅力的なデザインにすることは、開封率を上げるために効果的です。
文章ばかりのダイレクトメールよりも、写真を使うことで視覚的にアプローチできます。
オファーを目立たせたデザインにすると、開封のきっかけにつながりやすいです。
「DMメディア実態調査2023」によると、自分宛に届くダイレクトメールは1週間で4.4通もあります。
自社のダイレクトメールが埋もれてしまわないように、色付き封筒を使ったり、サイズを変えてみたりして、顧客の目に止まるようにしましょう。

中に特典を入れる

ダイレクトメールを受け取った人が開封する大きな理由は、開けることでメリットがあるからです。
特典を同封することはわかりやすいメリットといえます。
封筒を開けなくても気付くような立体的なものであれば、つい気になって開けてしまう人も多いでしょう。
もらったらちょっと嬉しいものを入れるのがポイントです。
例えば塾の勧誘で封筒を渡すとき、学生に向けてボールペンや消しゴムなどを同封しておくと開けてもらいやすくなります。

最適なタイミングで届くように調整する

ダイレクトメールは、顧客の購買意欲が高くなる最適なタイミングで届くように送るのが重要です。
給料日やボーナスの時期の前、誕生日、季節のイベントなどのタイミングをうまく活用しましょう。

早く届けたい場合は速達を利用する方法もあります。
速達を利用すると緊急性が伝わり、受け取った顧客のなかで重要度が上がり、開封率も上がりやすいです。
速達をするとその分コストがかかるので注意してください。

提供するコンテンツの質を高める

開きたくなるキャッチコピーや魅力的なデザイン、特典の活用などのテクニックを紹介しましたが、そもそもの提供コンテンツの質を高めることも大切です。
仮に開封してもらっても、コンテンツが微妙であれば購入や申し込みにはつながりません。
せっかくターゲットを絞ってアプローチできるダイレクトメールを使うので、顧客が自分ごととしてとらえられるような属性に合わせたコンテンツを用意しましょう。
ダイレクトメールの最終ゴールに売り上げアップを設定しているのなら、小手先のテクニックだけでなく、コンテンツの見直しも定期的に行ってください。

ABテストで開封率が高い要素を探す

ダイレクトメールの開封率をあげるために、ABテストを実施することも有効です。
ABテストとは、複数のものを比較し、よりよい成果を出しているものを検証するマーケティング手法です。
正確なデータを取得する場合、発送のタイミングや発送数など、比較する項目以外の条件は揃えておきましょう。
また、比較する項目は1つずつテストを実施し、それぞれ違いが明確にわかるようにしてください。
たとえば、インパクトのあるメッセージに絞ってABテストをおこなう際は、表現のニュアンスを変えるのではなく、訴求自体を変える必要があります。
仮説を立て効果検証を行い、新たに見つかった改善点で再びABテストをくり返し、最適なパターンを見つけていきましょう。

□まとめ

ダイレクトメールとは、特定の個人に向けた宣伝活動に使われる方法です。
直接訴求できるメリットがありますが、早くPDCAを回せないデメリットがあります。
施策をおこなう際に、ベンチマークすべき数値や開封率アップを参考にして工夫してください。
ダイレクトメールは施策を実施するまでに準備が必要ですが、ターゲットに向けてより効果的にアプローチできます。
ダイレクトメールならではの利点を活かし、開封率をしっかり上げて、自社の売上アップを目指しましょう。

 

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