コンビニエンスストアで封筒を買って自宅に戻り、いざ、プリントアウトしたA4の書類を入れようとすると入らない・・・といった経験、ありませんか?!

多くの文具店やコンビニでは今でも「長型4号」封筒(以下長4)を取り扱っていますが、この封筒は基本的にB5サイズの紙を四つ折りにして入れるサイズ。

A4サイズの紙ではうまく収めることができません。

学校や職場で使用するさまざまな書類はA4のものが主流となっているのに、なぜ今でも長4を取り扱っているのでしょうか?

今日は用紙・封筒サイズの規格に注目してみます。

□ 身の回りにある白銀比1:√2

身の回りの新聞や、コピー用紙、ノート、文庫本などは19世紀、ドイツの物理学者オズワルドが提唱した「ルート長方形」と呼ばれる同じ縦横比でできているのをご存知ですか?

白銀比に基づいて作られた長方形の縦横比率が1:√2(1:1.4141)

じつはこの白銀比 1:√2(1:1.4141)、または大和比とも呼ばれており、日本人が最も美しいと思う比率、古くから大工の間でも神の比率とされていました。
大工道具の中にあるL字型の曲尺の裏には今でもこの白銀比の目盛りが残っていて、法隆寺の五重塔や伊勢神宮などの建築物の中にも多く取り入れられています。

この寸法に沿って面積が1㎡のルート長方形が国際規格ISOのA0のサイズ。
わかりやすくいうと、日本の新聞は広げた状態で『A1』、2つ折りの状態で『A2』つまり、A1からA4のサイズの紙を取るには3回、半分に切っていけば8枚取ることができるというわけです。

この比率で長辺を半分にすると短辺の長さが長辺の半分の長さの長方形が出来上がり、どこまでも同じ比率の長方形ができるのです。

ではB判はというと・・・
こちらは日本の美濃紙判をもとに面積1.5㎡の「ルート長方形」を『B0』としたJIS国内規格。

日本独特のもので、国内のみで通用するサイズです。
もちろん国際規格ISOにもB判サイズが存在しますが、日本のものとはサイズが少し異なります。

□ 国内規格JIS・B判規格はどうやって決まったの?

昭和の始め、A判とB判の規定が決められる前は、四六判・菊判・新四六判・菊半截(きくはんせつ)・三五判・四六倍判などといった、たくさんの種類の紙サイズが使用されていました。
書籍には四六判・雑誌には菊判といったように主流はあったようですが、同じ判のサイズでも微妙に違っていてバラつきがあり、紙のサイズの統一規格を決める機運が高まります。

しかしゼロから統一する規格を考えるのは効率が悪い・・・そこで当時の人はまず諸外国がどんな規格を使っていたのかを調査します。

当時、アメリカやイギリスでは元となる大きな紙(原紙)の大きさだけを決めておけばそれを何等分したかで自然と画一化されるだろうという大雑把な方式でした。

そこで注目したのは、ドイツの紙。
ドイツでは原紙のサイズを縦横比で決め、次々と2等分していった用紙のサイズも全て決めてしまうという方式を取っていました。
その中のA5のサイズが日本の雑誌で主流だった菊判に近いということで、ドイツで使われたA判の規格をそのまま日本でも採用することになったのです。

しかし。このA判は主に書籍で長く使用されてきた国民に馴染みのある四六判に対応ができませんでした。
多くの人が慣れ親しんできたサイズ感だけに、四六判を廃止し、A判に統一してしまうと混乱を招く恐れがあります。

そこで。色々と試行錯誤した結果、A判の縦横比を維持したまま、面積を1.5倍にした寸法を使うと四六判に近いサイズを作れることを発見。
このA判の面積を1.5倍にした規格を国内規格JIS・B判として使用することになりました。

□ 長型4号が今も使われているわけ

この国内規格JIS・B判は江戸幕府の御用紙だったこともあり、政府は1992年まで、公文書にB判の使用を原則としていました。

行政文書の全てがA判になったのは1997年、じつは最近のことなのです。

日本で使用されている履歴書、市販されている縦書きの便箋などはB判のものが今だに多く、それらは長4の封筒と共に売られています。

また国内に長型4号封筒を作る製袋機が今でも多く使用されていることも理由の1つですが、やはり、何よりも日本人が慣れ親しんだ定形型・和封筒は、個人ユーザー需要が多いため、長4は現在でもコンビニに並んでいるというわけ。

□ まとめ

今や、1番利用する用紙がA4サイズになり、長形3号(A4を三つ折りにして入れる封筒)や角形2号(そのまま折らずにいれる封筒)の封筒が日本でもはもっとも流通しているサイズで、当社でも1番売れている封筒であることは確かです。

でもこういった歴史的背景や昔から日本人が美しいと思う白銀比のことを知ると、何だか堂々と店舗に並ぶ長4封筒には、江戸時代、幕府の御用紙であったB判紙を収める和封筒としての風格とプライドを感じます。

現在でも折りたたみ地図などはB5判で販売されていることも多く、あえてB判用紙や封筒が使用されているのには、もしかしたら、その背景に特別な理由があるのかもしれません

 

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